本の要約youtubeでオススメされていた、佐藤航陽さんの本です。
最近の経済について、広い視野を持って概括した内容。
印象に残ったのは、以下の3点です。
知識・情報のコモディティ化
近代は、情報の非対称性(偉い人しか情報を持っていない。)が根底にあり、中央集権的だった。
それが現代では、ほぼ全員がスマホを持ち、常時、ネットに接続した状態にある。そのため、各自がダイレクトに情報を入手できるようになった(知識のコモディティ化)。
結果、中央の権力が分散・低下して、個人の下克上が起こっている。
データや信用力の価値
資産としては認識されていない「データ(好みや属性といった個人情報など)」の価値を見直すべき。
SNSのフォロワー数などに代表される、個人が持つ信用力も大きな資産。これは、財務諸表には出てこないが、その気になれば、いつでも金銭的価値と交換することができるため、確実に「資産」と言えるものである。
Facebookがインスタグラムを買収した金額などに、その重要性が現れている。
資本主義から価値主義へ
3つの価値
①有用性による価値:いわゆる「仕事力」的なもの
②内面的~:個人の感情に働きかけるようなもの
③社会的~:社会全体の持続性を高めるようなもの
従来は、①が金銭的リターンに結び付いていたが、最近は、②や③が大切。
すなわち、①を考えて動くよりも、「好き」や「楽しい」に熱中すること、誰かの共感を生むこと、圧倒的な熱量を持てることに注力した方が、金銭的なリターンを得やすい時代になった。「その人でなければ/その人だからこそ」という独自性が価値となり、共感を生むことにつながるし、代替ができない存在として輝く。
Youtuberやインフルエンサーが、大きな影響力を持ち、企業の広告などに起用されているし、ブログによるアフィリエイトも同様。
信用力には、経済的な資本(預金残高や有価証券など)と同等か、それ以上の価値がある。
こうした世界においては、「他人に伝えられるほどの熱量を持って取り組める何か」を探す方が得策。
しかし、「やりたいこと」「熱中できること」は、意識して取り組まないと、日々の生活に埋もれて、どんどん見失っていく。そのため、まずは、「一日中していても苦痛ではないこと」を探して、熱中すること、そして、何らかの形で発信し、共感を得ていくことが重要。
個性を磨くことによって、どのような社会でも生きていける。
終わりに
私のような公務員は、均質なサービスが求められ、組織に役立つ標準的な歯車になること/尖らずに、淡々と・粛々と、マニュアルに従って仕事をこなすことが、強く求められます。
すなわち、個性を消すことが重要です。
そのため、今の仕事を続けていても、私自身の個性や価値(人的資本)は、それほど大きくは上昇しないでしょう。組織内での地位や給与水準が上がったとしても、同様です。
しかし、社会は、圧倒的に個性の時代へと移っているのですから、働き方としては、時代に逆行しているとしか思えません。そして、そうした格差は、今後ますます拡大していくのだと思います。
そのため、公務員であっても、起業家のような意識を持ち、社会に通用するような自分独自の価値や信用力(=人的資本)を高めていく必要があると感じました。
特に、セミリタイアを目指している方にとって、経済的問題を避けて通ることは難しく、その過程において、自分の稼ぐ力の弱さに愕然とすることは多いと思います。
組織に属さず、個人の力で収入を得ることの、何と難しいことか…。
しかし、セミリタイアを目指していなければ、こうした自分の価値や、社会の中における相対的な立ち位置に目を向ける機会は、おそらくなかったと思います。
そして、私が、残る人生をより良く生きるためには、こうしたことに向き合わざるを得ないし、おそらく(セミリタイアを目指していない人も含め)誰しもが、そうしたことを考えなければならない時代が来ているのだと思います。
変化への対応は、早いに越したことはありません。
だからこそ、「速やかに行動に移していこう。」
そう思わせてくれる一冊でした。
コメント